普連土学園中学校説明会レポート(2019年11月5日)
本日は普連土学園中学校へ、受験ドクター東京校校長の澤田 重治が行ってきました。
【静黙室】
キリスト系の学校のなかでもフレンド派(クエーカー)である普連土学園では、目に見える形に縛られない
教派のため礼拝堂は持ちませんが、祈りのための部屋である「静黙室」があるそうです。
日本では唯一の、 「キリスト教 プロテスタント系 フレンド派」 の学校。
JR田町駅:三田口より徒歩8分
都営地下鉄(浅草線・三田線)三田駅:徒歩7分
(A3出口を左に出て、左に進む)
東京メトロ(南北線)・都営地下鉄(三田線)白金高輪駅:出口2より徒歩10分
バス 三田三丁目・三田五丁目下車1分
2019年11月5日に行われた普連土学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は普連土学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©普連土学園中学校
英語教育について
英語科教員のD. Stifler(ダニエルスティッフラー) 先生より、
英語教育に関するお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。
発信力を鍛える~本校の英語教育~
→ エッセイのテーマ……(例)「相関関係と因果関係の違い」
▽英語教育の5つのポイント
▼Start with the Basics
・日本人の先生が基礎文法からきちんと教える→使う機会を外国人の先生が作る
▼Focus on Communication
・English Lunch など、英語を使う場を設ける
・ただ話すだけでなく、どのように論理的に話すかということまで指導する
▼Build Relationships
・言語は話さないと上達しない。積極的に話させるには信頼関係が必要
・授業外でも話す機会を作る
・楽しく英語に触れさせる
奉仕活動について
中2副担任の若林朋美 先生より奉仕活動についてのお話がありました。
その中からいくつかを紹介します。
奉仕活動について
▽キリスト教の精神=奉仕の精神を大切にする
▽「自治会」と呼ばれる委員会活動を毎週木曜日の6限に行う
▼全員が、何某かの自治会に所属する
▼必ずしも希望通りにならない→安易にじゃんけんなどで決めるのではなく、まずは話し合い
▼相手の気持ちを慮る……これも奉仕精神
▼園芸委員会……各クラスで任意の植物を育てる
▼国際親善委員会・ボランティア委員会……他校にはあまりない
▼当番=クラスに貢献する機会
▽外向きな奉仕活動
▼奉仕プログラム
・中1:視覚障害を学ぶ ・中2:聴覚障害を学ぶ ・中3:身体障碍を学ぶ
・高1:知的障害を学ぶ ・高2:高齢化問題を学ぶ ・高3:奉仕活動のまとめ
・高1・高2……自主ボランティア(自分で施設を探し、夏休みなどにボランティアに行く)
▽奉仕活動が生徒の「内面の成長」につながっている
▼助け合うことを当然と感じるようになる
2020年度中学入試について
大井治 教頭より各教科の入試に関するお話しがありました。
その中からいくつかを紹介します。
入試について<全般>
▽2/1,2/2の午後入試
▼時間帯が2回設定されているが内容は同じ
▼間に合う方で受験すれば良い→事前連絡不要
▽入試全般について
▼倍率は2倍程度……基本的なことが理解できていればOK
▼繰り上げ合格(掲示はなく電話連絡のみ)の際には複数回受験者を優先する
入試について<国語>
▼2/1,2/4……主に記述問題を出題
▼2/2午後……主に選択問題・抜き出し問題を出題
▼説明文……筆者の主張を捉える
▼小説文……主人公の心情の変化・成長をつかむ
▼言葉の知識……言葉を大切にしているのでよく出題される
入試について<算数>
▼2/1AM,2/4……思考の過程にも配点。会話問題あり
▼2/1PM……計算問題と一行問題を計50問出題。解答のみ記入。標準レベル中心
最後の5問は難しい。37問程度できれば合格
▼2/2PM……思考の過程にも配点。会話問題なし
▼思考の過程にも配点……答えが違っていても半分以上点数が入ることもざら
▼会話問題……会話の流れをたどりながら論理的思考力を問う問題
入試について<理科>
▼物理・化学・生物・地学の4分野から均等に出題
▼グラフ作成や表の読み取り問題はほぼ確実に出題する
▼記述問題は1~2題(基礎的な知識を基に記述で思考力を問う問題)
入試について<社会>
▼地理・歴史・公民の3分野から均等に出題
▼1~2行程度の記述問題を出題
▼時事問題や資料の読み取りなどを出題することもある
入試説明会について
▼出題者が解説する
課外授業について
広報部長の池田雄史 先生より、
課外授業に関するお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。
理系の課外活動~2つの国際大会へ~
▼mindstorms(マインドストーム)=プログラミング可能なレゴブロック
▼2年ぶりにFLL(First LEGO League)世界大会に出場
▼2年前は特別賞、今年は全国3位
▼デザインやチームワークも得点化される
▽理科部
▼「ロケット甲子園」で優勝→6月にパリ「国際ロケット大会」に出場
▼メンバー4人中2人は文系の生徒
▽理科に興味を持たせる
▼中学入学時のアンケートで「理科が苦手」と答えた生徒は70%
▼高3の現役理系進学率は43%
沈黙の力・愛する力~本校の教育理念~
青木直人校長より、教育理念に関するお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。
本校の教育理念
▼キリスト教の中でも「フレンド派(Society of Frinds,クエーカー)」に属する
▼フレンド派の特徴
・神の前では平等……教師と生徒も役割の違いでしかないという考え方のため教壇がない
・多数決はとらない……互いの話を聞く。数の論理は使わない
▽夏休み「建学のルーツを探る旅」(イギリス)
▼前夜の礼拝から朝の礼拝まで「完全沈黙」の体験
・一切声を発しない。必要があれば筆談で伝える→言葉のありがたみを知る
・他人の話をよく聞くようになる
逆説の10カ条
1.人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
2.何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
3.成功すれば、うその友達と本物の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい。
4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
5.正直で素直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
それでもなお、正直で素直なあなたでいなさい。
6.最大の考えをもった最も大きな男女は、最小の心をもった最も小さな男女によって
打ち落とされるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7.人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。
それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
9.人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
それでもなお、人を助けなさい。
10.世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善をつくしなさい。
学校訪問を終えて
同じキリスト教であっても、教派が異なると、その考え方や目指すところも大きく変わってくるようです。
普連土学園は、その名が示す通り「フレンド派(クエーカー)」の学校であり、「礼拝堂を持たない」、
「教壇を使わない」など、学校の設備そのものにも教義を反映させている一貫性を感じました。
都会の真ん中にありながらも、校内に入ると一種独特の静けさがあり、現実から切り離された空間と
いう印象です。
人格形成に大きな影響を与える思春期に、このような環境の中、お互いを尊重し、他者への奉仕の
精神を持ちながら学校生活を送ることは大きな意味があるだろうと感じました。