2019 海城中学 | 学校説明会レポート



海城中学校説明会レポート(2019年11月3日)


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本日は海城中学校へ、受験ドクター 国語講師のS.M.が行ってきました。
都心にほど近い場所にありながら敷地面積は広く、それゆえ建物間や廊下も広々とした印象。
人工芝のグラウンドも十分な広さを誇ります。
体育館は天井が一面ドーム式になっており、自然光が降り注ぐようなデザインです。
また、これは施設ではないのですが、私が訪問した11月上旬はちょうど生徒会選挙のシーズンだったようで、校内のあちらこちらに生徒が自作したと思われるカラフルなポスターが掲示されていました。各々がユニーク(かつ「これは確かに実行されたらいいな」と思わされる)な公約を掲げ、自己PRを行っていました。

JR山手線 新大久保駅より 徒歩5分
地下鉄副都心線 西早稲田駅(3番出口)より 徒歩8分
JR中央総武線 大久保駅より 徒歩10分
JR山手線 地下鉄東西線 高田馬場駅より 徒歩12分
地下鉄副都心線 大江戸線 東新宿駅より 徒歩12分

2019年11月3日に行われた海城中学の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は海城中学ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©海城中学校

プログラム

校長ご挨拶

海城中学校の柴田 澄雄校長より、
教育に関するお話がありました。

その中から一部を紹介いたします。

海城の目指す教育について

①自らが主体的に学ぶこと。校長自身が商社マン、大学教員を経験する中で、自分で考え自分で行動することの大切さを実感してきた。経験から生まれる自信の大切さを実感してほしいと考えている。卒業生が講演に来たときにも、海城での学びがエネルギーの源になっている、自分で人生を切り開くことが大切だと強く感じていると話してくれていたのがうれしかった。
②仲間と協働して繋がること。KSプロジェクト(生徒と先生が一緒になって研究を行う、文理を超えた学び)などを通して、バランスのとれた人材の育成を図っている。モンゴルとの連携(スタディツアー)もこの目的に沿ったもので、交流を深めるだけでなく、生徒自身が日本以外の以前や文化を体験し知見を広めること、海外の大使館職員などから話を聞いて社会的な解決方法を考える時間をとることなどを目指している。地球社会に役立つ人材の育成、社会貢献を図る教育を行っている。

教育理念

入試広報担当の先生より
教育理念に関してのお話がありました。
その中からいくつかを紹介します。

教育理念について

建学の精神は「国家社会に有為な人材の育成」。これは海城学園創立者の古賀喜三郎が、開校時に話した言葉からきている。これに加えて後に定められた教育理念・目標が「公正さを前提とした自由主義」と「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」。自由という言葉は世の中で広く聞かれるが、海城においては「自由の前提にはフェアネス(公正さ)がなければならない」と考えている。そのために様々なプロジェクトアドベンチャーやドラマエデュケーションという教育プログラムを実施している。それらの活動に本気で取り組むことによってゆるぎない自己信頼を育み、同時に他者を慮る心も育てていきたい。

生活指導について

生活指導部の先生より生活指導についてのお話がありました。
その中からいくつかを紹介します。

「共生」と「自立」

海城での生活指導について。「共生」と「自立」をキーワードとし、高い知性と豊かな情操をもつ新しい紳士の育成を行っている。世の中には様々な人がいて、その中には当然ものの見方や考え方の異なる人たちもいる。様々な人たちと協調できるようなパーソナリティを築いていってほしいという考えをベースに指導を行っている。
・自立とは⇒子の親離れ・親の子離れ。生徒たちはいずれ自分の人生を自分の足で歩んでいかなければならないということ。
・校内でのルール制定の目的は「学習環境の維持」と「自分だけでなく他の生徒たちも安心して通える、互いの権利を尊重しあえる居場所となること」である。
・具体的な生活指導の場で大切にしていることは「問題行動への理解とまなざし」。思春期の問題行動はだれかとの関係性を何とかしようともがいているシグナルであると判断し、一方的に非難するのではなく受け止めるようにしている。
・教員は生徒たちが問題を乗り越えていくときの「協働のサポーター」でありたい。

海城の学習指導について

学習指導についてのお話がありました。
その中からいくつかを紹介します。

授業の充実

中1から高3までを2年ごとに区切り、中1・中2ではまず「基本的な生活習慣」を、中3・高1では「基礎学力の確立」を、そして高2・高3では「大学入試への対応」を目標に授業を実施。習熟度別授業の実施はないが、基本的な学習のリズムができていて、きちんと一回一回の授業を大事にしてくれていればと思う。

講習の充実

補習的側面をもつ「補強講座」、授業よりも発展的な内容を扱う「発展講座」、入試と無関係に教員の主催で行われる「教養講座」がある。また、これらとは別にKSプロジェクトを実施。これは1つのテーマに沿った研究をグループで行ったり発表したりするというもの。教科の枠を超えた学びの場であり、生徒たちの興味、関心をより研ぎ澄ますような講座となっている。また、学内で自己完結せず学外のコンテストにも積極的にチャレンジしている。講習+KSで、2018年度の高3では年間130講座以上を開催した。

入試について

各科目の先生にから入試についてのお話がありました。
その中からいくつかを紹介します。

入試について<国語>

形式は例年通り。小説5000字程度。評論3000字程度。普段から活字によく慣れ親しんでおいてほしいという観点からこの文字量にしている。国語の試験では「読む力(本文・問い・選択肢)」を見る。特に問いにきちんと正しく答えることができているかは重要。また、常識や感覚よりも言葉と論理を重視。客観的に読むこと、文章中の葛藤や問題意識を正しく読み取り共有できるかどうか。また80~100字の記述式問題では書く力を見たい。小難しい言い回しよりわかりやすく自分の言葉で平明に表現すること、設問の条件をきちんと満たして書くこと、他者が読んでも誤読が生まれないことなどを評価している。
入学後の国語科では「問いを共有しながら自己の考えを練り上げ表現すること、他者の主張を正しく理解すること」を学んでいく。多様な問題が生じる現代社会の中で、様々な葛藤や対立の中にあえて踏みとどまり、じっくりと考えてほしい。

入試について<算数>

「典型題+α」という視点で問題を作成している。未知の問題であっても、冷静にじっくり取り組めば、これまでに学習したことをもとに解くことができるものを出す。例えば一週間が5日しかないカレンダーの問題は、「暦の計算はこう」と解法をただ暗記しているだけでは混乱してしまうが、周期算の本質を理解していれば対応できる。+αに対してたじろがず、先入観をもたず、素直に取り組んでみてほしい。
受験生には頑健な計算力を求める。解き切る力を見たいので、途中式などは書かせず答えのみとしている。

入試について<社会>

大問1問のみの形式で、歴史・地理・公民の融合問題。テーマ文は毎年様々なものを出題している。論述問題が多いのが特徴、例年2,3題出し合計で350字にものぼる。また、資料を複数提示するような問題も出題する。目的は、複数の提示資料を組み合わせて論理的に説明したり、楽手してきた知識と提示資料を関連付けて考えたりする力を見たいから。重要なことは「学んだ知識を使って何を考えることができるか」である。だから思考力を問う出題形式をとっている。

入試について<理科>

自然科学全体に幅広く興味関心を持ってほしい、未知の自然現象についても、持っている知識と照らし合わせて、関連付けられないかを考えてほしい、また入試問題を通じて自然の奥深さにも思いをいたらせてほしいという意図から問題を作成している。物理・化学・生物・地学から大問1つずつの出題。単純な知識問題など簡単な設問もあるが、初めて見るような題材、紋切り型の問題とは違う考え方が必要となる題材もある。難問は、そこに至る誘導を理解することを心掛けてほしい。必要な知識や考え方は問題の中で与えられている。過去問を使い自分の頭と手を動かして、そのような出題に慣れておいてほしい。
理科に限った話ではないが丁寧な字で書くこと、他者に意図が伝わる文を書くことも意識してほしいなと思っている。
暗記すべきこと、覚えておかなければならないことをベースに考えていくという考え方。その現象が「なぜ」起きているのかを考えてほしい。ニュースや新聞など様々なことに興味・関心をもってほしい。普段の生活の中でも体験できることはたくさんしておくのが大切だと思っている。

学校訪問を終えて

伝統校らしく、確固たる教育理念を持っていることが伝わってくる説明会でした。海城の「新しい紳士の育成」というキーワードは知っていましたが、それがどのようなものであるのか詳しくは知らなかったため、今回「公正さを前提とした自由」とお聞きすることができ「なるほど!」と思いました。今回の説明会資料には、「KSプロジェクト」で生徒が実際に作ったという英字新聞も折り込まれていたのですが、実に本格的な出来栄えで、私は初めは学校の公式資料の一環かと思っていたほどです。思春期の男子の幅広い向学心を刺激し、精神的な成長を見守り促していく海城学園だからこそ、このような活動が成し遂げられるのだと思います。