2024 吉祥女子中学|学校説明会レポート



吉祥女子中学校説明会レポート③(2024年6月13日)


本日は吉祥女子中学校へ、受験Dr.国語・算数・理科・社会講師の久米 光太郎が行ってきました。

☆カフェテリアは中1から利用可。
☆課外授業として放課後、学校の中で習い事ができる。そのための音楽のレッスン室、華道や茶道をやる建物がある。
☆進路指導室では卒業生の合格体験記、どういう参考書を使ってどうやって勉強したのかの詳細な記録を見ることができる。
☆屋外プールがある。現在補修中。
☆図書館は蔵書82000冊。

JR中央線・総武線・地下鉄東西線
直通 西荻窪 下車 徒歩8分
西武新宿線 上石神井 から「西荻窪駅」行バスにて15分
地蔵坂上バス停下車 徒歩8分
2024年6月13日に行われた吉祥女子中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は吉祥女子中学ではなく、受験Dr.までお願いします。
©吉祥女子中学・高等学校

プログラム

昨年度の学校の様子や学校の沿革について

赤沼 一弘校長より昨年度の学校の様子や学校の沿革についてのお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。
学校行事をコロナ禍前に戻した。授業が充実しているというアンケート結果をもらった。全ての行事を予定通りに実施することができた。
吉祥祭や運動会など4年ぶりの本格開催。中心となる高2は中1以来、実質初めて学校行事を行った。
引き継ぎや伝統が途切れている中で、お互い協力しリーダーシップを発揮して無事に行えたことは嬉しい。

新入生を迎えることができた。
今年の新入生に対しては「失敗したくないと考えるよりもどうしたら上手く行くかを考えましょう、努力する過程を楽しむように」というお話をした。
最近の子は失敗することを恐れる。
いろんなことにチャレンジしてほしい。
吉祥ではフォローする態勢も整っている。
新入生は生徒会主催の歓迎会、新入生オリエンテーションで順調にスタートを切れた。
5月から部や委員会に参加している。

学校の沿革

教育を受ける機会が少なかった女性に活躍の場を与えたいという思いがあった。
「社会に貢献できる自立した女性の育成」が建学の精神。守屋荒美雄と守屋美賀雄の2人の学者が作ったアカデミックな基礎がある。
広く深く学ぶ機会を生徒に提供するために高大連携を行っている。学校で大学の授業が受けられる。
今年に入り新たに東京医科大学、東京理科大学と協定を結んだ。どちらも本校出身の生徒の学びの姿勢が良かったので声をかけてもらった。
美賀雄は外国との交流を大事にしていた。交流は50年続いている。
1年留学後に元の学年に戻れる特別認定留学制度がある。現地校の訪問などのカナダ体験ツアーが以前からあり、現在は高1で行っている。
学内は自由な雰囲気である。大学の附属校でもないし宗教もない。多様性を認める環境がある。

入試について

資料・動画サイトではドキュメンタリービデオなどを受験生に見てもらっている。
卒業生の進路が掲載される吉祥進学などもサイトに載っている。

2/1は緊張感に包まれる朝。コロナ禍のころから北側の門から入ってもらっている。受験生入場路と保護者入場路を分けている。
退場は受験番号ごとに二箇所に分けて混雑の緩和を図っている。
今年の入試結果について。2/1の合格者は187名、少し合格者絞った。合格ラインの1点に十数人いるのはよくある状況。

2/2 の合格者は232名。少し数が多め。入学者がそれぞれの定員に近くなるように発表している。
2005〜2024まで、毎年第2回の方が受験者多い。
第2回は昨年1006名→今年度1007名が出願。第1回は去年626名→今年603名が出願。
合格者数は200名前後が目安。

1・2回目両方出願する受験生について、
2/1受験者の両方の出願率は72%→86%→今年は83.7%と上がっている。
2/2受験者のうち両日志願者は昨年53.7→今年50.1%。2/1により上位校を受けて2/2に本校を受ける受験生が増加した。

入試出願はインターネット出願のみ。ミライコンパスを使っている。出席日数や通知表は必要なし。
併願校を記入してもらう。学校名のみで日程は記入不要。入試当日もアンケートを記入してもらっている。

併願校、第1回受験生では豊島岡多い。富士見・大妻がその次。午後試験ある恵泉・農大一・山脇が増加傾向にある。
併願校、第2回 受験生では女子学院が圧倒的に多い。桜蔭は少ない。鷗友、豊島岡、晃華、富士見、頌栄などが併願の上位。
恵泉、農大一、学習院が増加傾向。大学附属校との併願について、第1回では年によって変化ある。
慶應中等部が近年少し増えてきている。第2回では学習院女子、中大附属が増えた。

応募者の中で御三家・豊島岡・鷗友との併願について。御三家併願では女子学院が多い。雙葉が減った。
御三家併願の延べ受験者数と本校合格者数について。近年御三家併願者が増えた。

2021年は御三家併願者193名で本校合格者138名。
2022年は志願者212名で合格者140名、2023年は志願者208名で合格者126名、
2024年は志願者231 名で合格者143名。

御三家併願者の本校合格者の割合は71.5%→66.0%→60.6%→61.9%と推移している。

豊島岡の併願者データについて。
豊島岡との併願者の合格数グラフについて。年によって併願者数に違いがある。
併願者数が多くなっても合格者数が大きく増えるわけではない。豊島岡併願者の合格率は52.4→54.3→57.3%と推移している。

⭐︎2/1・2の2回受験で有利になることはありますかとよく質問を受ける。点数的にはない。
追加合格者は両方受験した人からのみ選んでいる。2/1は雰囲気が全然違う。第一志望的に考えているのなら複数回の受験も選択肢の一つに。

追加合格は突然電話がかかってくる。合格手続きは2/7の11:00締め切りなのでその後から追加合格の電話をする。
2回の点数を総合している。電話が繋がらないことほとんどない。過去3年の追加合格者はは16→9→23名。

⭐︎次年度入試について、算数の出題形式が変更になる。
募集人数と日程は同じ。合格発表は当日。足切り点はなしだが合格最低点高いので一科目失敗すると難しいかも。
入試問題の傾向は従来のまま。コロナの前から同じように作っている。2024年の入試問題の公開は7月下旬以降を予定。

算数の出題形式変更について。1・2回目どちらも変更する。これまで大問①は7問あって配点30点だった。これを計算1問.一行問題4問の計5問で配点20点に変更する。
また、記述問題を廃止して大問を均等配点にする。これまでの配点は大問1が30点、2が10点、3が15点、4が20点、5が25点などとしていた。
今後は大問1が20点、大問2〜6は各14〜18点の均等配点とする。これまで勉強していたものを掬い取ってあげたいという意図で変更する。
できるだけ多くの分野からより深く出したい。今までは記述問題が一問で6+2点。
一つの分野でそこができないと影響大きい。受験生のこれまでの学習の積み重ねを見たいという意図。

︎本校の特色について

保護者にこういうことを説明している。2024の中学入学式ではマスクが少なくなって以前に戻ってきた。
入学式翌日に新入生歓迎会があり上級生から拍手で迎えられる。
中3生徒による中1の校内案内がある。校内の案内、食券の買い方 水曜の6時間目はロングホームルーム 写真撮ったりする

翌日は武蔵野の森で中1オリエンテーションを行う。身体を使うプロジェクトアドベンチャー。アクティビティを通して変化。
全部終わった後の空気感は全然違う。成功のカギは仲間との協力ですごく盛り上がる。自分の居場所を見つけるきっかけとなる。
各部活動の歓迎公演や行事がある。

2023年はほぼ完全にコロナ前の学校生活に戻った。
海外研修行事を再開し、吉祥祭の人数制限なくなった。クリアファイルのデザインは卒業生のイラストレーターに発注してリニューアルした。
スラックスは2003年から導入している。中学生と高校生は別の通学路。平均通学時間は50〜70分。始業は8:30。
バス通学もいる。ブレザータイプの落ち着いた制服。スカートやブラウスの柄、リボンかネクタイかを選べるようになった。
多様性を認める文化がある。みんな違っていいじゃんということを当たり前に認められる文化が醸成されている。
同調圧力や出る杭が打たれる空気が少ない。

どういう性格の生徒さん多いですか?という質問をよく受ける。
元気で明るい子もいるけれど、読書したりオタクっぽい文化大好きという子もいて上とか下ではなく一緒に学校生活を楽しめる。
そのままの自分でいられる、行事等にも全力で取り組むことができる。これからの人生の糧になる経験を積むことができる。
4年ぶりに人数制限なしの吉祥祭を行った。
コロナ前の来場者数は13000人、今年は17500人。2020年は校内発表は吉祥生のみ、次は保護者、次は小6

2019年以前は有志のゲート製作委員会で正門にゲートを作っていた。
コロナ禍では内部に設置しており、昨年度は久しぶりに玄関に設置した。

生徒それぞれにスポットライトが当たる場所がある。
頑張っている人を応援する支える文化がある。生徒主体の学校行事の継承を行っている。
昨年、4年ぶりに八王子キャンバスで6学年合同の運動会を開催した。
高3全員でやるダンスは吉祥生活最後の象徴ともいえるプログラム。

生徒インタビュー

自由にさせてくれる雰囲気ある学校
本気で主体的に考えて行動できる生徒をそだてようとしている。
当たり前のこととして授業・勉強もしっかりやる。きちんと学校がサポートする。

吉祥女子の空気の背景として、建学の精神の背景にあるものは3つの校是。
「知的探究心を育みましょう」「言葉と行動に責任を持ちましょう」「互いの価値観を尊重しましょう」大切な6年間で自分らしく輝ける居場所をどこかで見つけることができる。
進路指導は学習に対する内発的な動機づけとなる。進路プログラムは段階的に行う。高2ではいろんな大学を見て腹落ちして進路を決める。
卒業生の社会人や大学生を呼ぶ講演会やパネルディスカッションがある。高1秋に高2からのコースを選択。コースは理系、文系、芸術系。進路は自分の意志で自分の責任で選択する。
教養講座では連携結んでいる大学の講座を受ける。高大連携協定は東京農工大、東京外語大、国際基督教大学、東京学芸大、順天堂大と結んでいる。
推薦があるわけではない。この春に東京医科大学、東京理科大学と新たに提携した。順天堂大では医学部が使う施設を見せてもらった。
本校では自分で選び取る夏期講座あり。その中には複数学年合同講座もある。本校教員が行う。

補習ありますか?→中3から高校内容に入るので、中学段階で苦手意識を持たせないように補習のシステムあり。英語・数学の2教科。寺子屋のようにできるまで指導。

進路選択は理系・文系・芸術系(美術)。
吉祥には芸術系の育む芸術的土壌がある。40数人に貸し出せるバイオリンがある。近年は理系が多い。
今年は文系99名、理系163名、芸術系10名。理科実験をたくさんやる学校である。
実験室は4つ、助手さんも3人いる。国公立今年は85名合格。北海道大8人などの年もある。全国規模で進路を選んでいる。
理系はほとんど国公立を視野に入れている。文系の半数は国公立を視野に入れている。医学部医学科69名合格。国公立の前期後期試験では、後期の人数がここ10年で萎んでいる。
かつてのAO入試を総合型選抜、かつての公募推薦を学校推薦型選抜(公募)と呼んでいるが、どちらも競争性が激しい。
通常の前期日程以外に勝負する機会である。
東京工業大の総合型選抜に本校から4名合格した。
同一高校から4名合格は稀。今年から女子枠が始まったことも関係あるかも。

吉祥女子は教員と生徒の距離が近く気軽に質問できる。
本校は帰国子女枠や海外在住経験による加点なし、基本的に1から英語を始める。

長い国際交流の歴史と実績がある学校である。カナダに200人規模でホームステイを行っている。
それ以外の留学もある。同級生の学年に復帰できる1年留学制度がある。
コロナ禍の間はオンラインでの国際交流を実施。

吉祥女子には自分が自分らしく輝ける場所がある。部活動が多い。
カフェテリアは中1から利用可能。
学校の中で習い事できる課外活動がある。茶道、ピアノ、声楽、美術、日本舞踊などがある。

学校訪問を終えて

生徒の主体性を尊重する自由な進学校として独自の地位を確立した。東大合格者が1名のみにも関わらず国公立の合格者数85(既卒性含む)は異例の多さ。進路選択において学校から「東大を受けなさい」というプレッシャーが全くないことがうかがえる。医学部医学科は合格者10名と少ない。芸術系コースがあるのは女子進学校では異例。自分の進路を自分で決めたいお子さんには良い学校であるが、何が何でも医学部・東大というご家庭には向かないと考える。