北鎌倉女子学園中学 学校説明会レポート(2023年05月31日)
創立80年を越えた伝統ある女子校であり、「伝統的な学び」と「革新的・先進的な学び」のハイブリッド教育を掲げる学校です。
JR横須賀線・湘南新宿ライン「北鎌倉」駅より 徒歩7分
2023年05月31日に行われた北鎌倉女子学園中学の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は北鎌倉女子学園中学ではなく、受験Dr.までお願いします。
学園生活について
入試広報部長の鈴木 奈津子先生より、学園生活についてお話がありました。
☆のびやかな自立した女性を育むため、「ジェシカ改革」を行っている。「ジ」は自主性の尊重・受験に強い授業、「エ」は英語教育の抜本的強化、「シ」は施設・設備の一新、「カ」は鎌倉に密着した体験学習のこと。例えば円覚寺などの観光スポットで外国人観光客にイングリッシュガイドを行っている。北鎌倉から世界へつながる学習、伝統+革新のハイブリッド教育を行っている。礼法や芸術鑑賞も大事にしている。
☆中学は先進コースと音楽コースがある。高校は普通科(先進と特進)と音楽科がある。どちらも中学入学生と高校入学生が混成。行事を通じてすぐに仲良くなれるので混成に関する心配は要らない。いろいろなことにチャレンジできるように、週5日登校で土曜は自由登校日に変更した。土曜は行事等で登校することもあるし、 講座自習室もある。月〜金は7時間授業、昼食はお弁当だが学食もあり、中学生から利用できる。
☆制服はコシノジュンコさんのデザインで夏服と正装があり、好みに合わせて組み合わせできる。2023年よりスラックスを導入した。
☆ICT教育 1人一台端末貸し出しを行い、アプリを通じて課題を提出してもらっている。プリントをなくしたり持ち運び大変になることがない。学園オリジナルの学習サイトがあり、小テストの予定や教科ごとのカリキュラムが分かり、教員が作った教材を見たり学習アプリに飛んだりすることもできる。教員からも1人1人の取り組みを見ることができる。英語は2クラスを3分割して授業を行っている。アメリカにある姉妹校の生徒とzoomで交流できる。 海外研修もある。校内にイングリッシュルームがあり、ネイティブの教員が放課後にずっと常駐していて予約なしで通える。KGプロジェクトという総合探求プロジェクトを行っており、地元鎌倉の名店とコラボして商品を開発するなど、社会とつながる経験をすることができる。
☆先進コースではICTを活用しながら基礎学力を高めこれからの時代に必要な力を養う。自分の学びの進度にあった学習ができる。英語を先取りするとか苦手な数学をやり直すとかが可能。教員との共有も可能。ディスカッションやプレゼンテーションを多く取り入れ発信する力を養う。先進英語では教科書や問題集を利用せずに写真や動画を用いた創作活動を行ったり、姉妹校に日本のことを英語で紹介したりしている。先進的な学びの時間では、iPadを使ったミニワークを行い、3Dでアニメを作るとかドローンを飛ばすなどをやっている。
☆音楽コースでは中学から専門的な教育を受けることができる。音楽では早いうちから専門的教育を受けることが必要。生徒1人1人に専門家がついて指導し、個人レッスンも受けられる。ソルフェージュや聴音などの音楽専門科目も時間割の中にあり、放課後の練習環境も整っている。
☆行事 今年は以前通りに実施。生徒が自主的にやっている。部活動は朝も放課後も週3日まで、兼部する生徒もいる。
☆進路指導 生徒と教員の距離が近いので、生徒と先生が一丸になっている。英語指導を理事長、論文指導を学園長がサポートしている。中学からレポートやプレゼンテーションを作成しているので多様な入試に対応できる。卒業生105名中、93名が四年生大学に進学している。93名の進学者中、指定校推薦の進学が55名でほぼ6割と多い。今年の卒業生は柳沢学園長就任3年目の学年で授業改革の成果が出たので、早慶上理の現役合格者数が10名と進学実績がよかった。学園長は先進的な学びの時間担当をしており、高校では1年から論文や面接指導を行っている。自分は日本史担当だが、日本史で受験する生徒とメールで添削のやり取りしていた。
入試について
引き続き入試広報部長の鈴木 奈津子先生より、入試についてお話がありました。
☆今年度は2/1の午前の2科目受験生が多かった。後半に出願して入学する生徒も多かった。受験生数は変わらないがのべ受験生が過年度より多いのは、第一志望が例年より多かったと考えている。音楽コースは受験者減った。来年度は日本語4技能入試を廃止する。本校オリジナルで対策取りずらかった。そのかわり国語1教科や算数1教科入試を複数回設定する。受験生が小学校を休みやすい土曜・日曜に入試を設定する。入試当日まで出願可能。オンライン入試も検討中。音楽コースは筆記を一日目、実技を二日目に行う。筆記は国語・算数のうち得点の高い1教科で判定。夏の受験講習会で個人レッスンを行いアドバイスするので、音楽コース希望の受験生はぜひ参加してほしい。
☆二科入試の振り返り 算数は1が計算の基礎問題(35点)、2が一行問題(35点)、3が図形問題(10点)、4と5は毎年傾向の異なる問題(各10点)。60点がボーダーの点数となる。1と2を確実に取ってほしい。国語は1が教科書の漢字、接続語、文法、文学史などの知識問題(20点)。2が物語的文章で40点。3が説明的文章で40点。教科書を音読する、ノートをきちんと取ることが大事。今年度の物語文は主人公が受験生と同世代でやりやすかった。論説文は解きにくい問題ではなかったが、耳慣れないカタカナ語が多く使われていて敬遠する受験生もいた。算数は大問1の正答率8割で2が4割と差がついた。割合や規則性の問題では力技で解けるものもあるので根気よくあきらめずに取り組んでほしい。受験生が多くても得点率6割がボーダーは変わらず、合格しづらいことはなかった。
☆四科総合入試の振り返り 大問3の計算や大問5の漢字などの基礎はできていた。行動を感情から読み取る問題では白紙もあったのでとにかく書くことが大事。問われていることを正しくとらえることができていないものもあった。あなたにとってアイドルという存在はなんですか? という問いに、アイドルとは一般的にどういうものかを答えてしまった受験生もいた。読書経験をして、読んだ内容を。他の人に話すといい
☆算数一科入試の振り返り 計算28点で一行28点なのでここで稼いでほしい。途中式を書く問題多いのであきらめず書いてほしい。
☆国語一科入試の振り返り 会話文やグラフ読み取りなど新傾向の問題を出した。記述は途中点もあるのでとりあえず書いておくことが大事。
☆プログラミング入試の振り返り 入試内容は、当日にプログラミングの基本を解説して指示されたことに取り組み、その後で課題に取り組み、工夫したところなどの質疑応答を行う。入試体験をやるので受験を考えている人は参加してほしい。昨年度の体験会の様子はYouTubeで見られる。
☆エッセイ入試の振り返り 問題があらかじめ提示されるので、前もってエッセイの準備は行えるが当日は持ち込めない。質疑応答は学園長が担当する。作文の練習が大事。
☆英語プレゼン入試の振り返り プレゼンにはiPadやPC、画用紙など前もって準備していたものがいろいろ使える。英語と日本語の両方で質疑応答を行うのでご家庭で受け答えの練習をしてほしい。
☆オンライン入試 エッセイ入試と英語プログラミング入試で来年度も実施を考えている。
学園長ご挨拶
柳沢 幸雄学園長からご挨拶がありました。
☆論文指導では生徒1人1人にあった個別最適化を目指している。高校一年生全員に行っている授業では、「富嶽三十六景を目隠しをしている人や目の見えない人に説明する」というお題で原稿用紙で書くことをやった。その中で「文殊の会」を行った。3人よれば文殊の知恵ということで生徒3人集まって知恵を集めるもの。アイデアを交換して新しいアイデアを生み出すブレインストーミング。自分のアイデアを説明し、聞いている人はメモをとりながら聞く。すると自分のアイデア、仲間のアイデア、触発されたアイデアと3種類のアイデアが出てくる。 完成した論文は完成したジグソーパズルに似ている。まずフレームを作って四隅を作って埋める。そして形や色、 関連しそうな内容でグループ化して、同じグループをつなぎ、グループの順序を考える。目次を作るときはグループ名が目次になる。目次のタイトルにはキーワードを入れる。導入(プロローグ)では目的・動機・結論を簡潔に述べる。 いくつかの段落では大中小の法則を使う。大項目では、その段落で伝えたいキーワードを提示。中項目ではキーワードの概念の説明を行う。小項目では概念の具体的な説明を複数の例で行う。これを段落ごとに分けていく。
できたものの例
大項目→海は大荒れで猛々しい波が渦巻いている
中項目→画面の左側にはうねった波頭が砕け落ちている
小項目→波頭の上の方は白く塗られて下の方は青い
読みやすい論文は各段落の大項目だけを読んで内容が把握できる論文。読みやすい論文を書けば自分が伝えたいことが相手によく伝わる。大学の入試や仕事につながる。実際に入試の論文を読む先生は全部は読みきれない。論理の構成が明確になっているものは細かく読み、そうでないものは脇に置く。比較検討が大事。友人の文と自分の文を比較していいなと思った視点や表現はどんどん真似をしていく。
2回目の文殊の会では自分の新しいアイデア、新しい仲間のアイデア、前回得たアイデアの3種類のアイデアを得ることができる。3回目の文殊の会では他の人の文章に対して良い点3つ、工夫が必要な点2つをメモする。 これを週1時間6回やるだけで全然違う文章が書ける。1人ではないので取り組める。
☆SIMクラブ(サイエンス・インフォメーション・マスマテイクス)を作った。数学ができないなど、ネガティブな発想から自分の進路を選択する人が多い。そこでシムクラブを創設し、メンバーを募った。クラブ活動であり本人の意志で参加する。馬を水辺に連れて行くことはできても水を飲ませることはできない。これも個別最適化の一例。自分がやりたいことをやらせる。苦手に固執しない。好きで特異なものは自分の宝なので職業につなげる。不得意で苦手なものは誰にでもある。日本の教育では苦手なことをやらせて克服させようとするが、そういうものはあきらめていい。一芸にひいずるものは多芸に通ずともいう。得意なことを誰にも負けないようにすることが大事。そうは言っても生きるために必要な基本的な知識というものはある。昔は読み書きそろばん。現在はSIM。漂白剤を混ぜると危険であるとか、パソコンの使い方とか、 住宅ローンをどう払うかとかは知っておくといい。聞くはいっときの恥、聞かぬは一生の恥。勇気を持って質問することが大事。数検は、数学が苦手なら自分に合った小学生相当の7級や8級から初めていい。得意なら2級に挑戦してもいい。
☆中高生の人間関係には縦、横、斜めがある。横はクラス・同学年の関係、縦は先輩をロールモデルとして後輩を慈しむ対象とする関係。縦の関係の優劣が学校の優劣である。開成の校長9年やっていたが開成は縦の関係が上手く回っている。自分が選び取った、自分に合う先輩をつかみ取ることが大事。斜めの関係は親や教師との関係。中学生は大人の言うことは聞かない。のびやかな自立した女性を育むため、伝統と革新のハイブリッド教育で時代の変化に対応できる女性を育てる。
校長ご挨拶
佐野 朗子校長からご挨拶がありました。
この学園は穏やか。異学年で総合的な学習を行っている。 進路実現のベースは先輩が後輩を導くあたたかさにある。体育祭で、いい学園に入れてもらったと学園長にお話されている保護者の方との絆を感じた。
塾生の方に実際に見ていただくと他校との違いが分かる。本校は国際やICTの先取りを行っていて、リアルな体験学習を本校では大切にしている。
学校訪問を終えて
人数が少なく小規模な学校だが、100名弱の卒業生で昨年度は国公立に6名、今年度は早慶上理に10名の合格者を出すなど進学実績は特筆すべきものがある。指定校推薦や公募型推薦、総合型選抜の利用者が多く、学校が生徒の進路実現のためにいろいろな情報を提供し、一丸となって入試を突破しようという姿勢が見える。授業見学中の生徒もみな真面目で、他校だと教室に数名いる授業中寝たりおしゃべりしたりしている生徒がいなかった。