国学院久我山中学 学校説明会レポート(2024年05月15日)
国学院久我山中学の学校説明会に、受験Dr.吉祥寺校長の久米 光太郎が行ってきました。
東京では珍しい、男女別学を特徴とする学校です。
京王井の頭線「久我山」駅より 徒歩13分
関東バス「国学院前」バス停より 徒歩すぐ
京王バス「御嶽神社」バス停より 徒歩9分
2024年05月15日に行われた国学院久我山中学の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は国学院久我山中学ではなく、受験Dr.までお願いします。
©国学院久我山中学
教育方針
国清 秀明校長より、国学院久我山の教育方針についてお話がありました。
☆卒業生のうち国学院大学に進学するのは4%、他校受験できない指定校で進学したのは18名。
国学院大学に外部受験で合格したのは70名。したがって中1から他校受験前提のカリキュラムを組んでいる。
☆中高一貫の充実のため、現在、中高の生徒会規約を同一にする改善を生徒がやっている。
中学の生徒会長は女子。女子は人数が少ないが中学は女子の発信力が強い。
高校の生徒会長は男子。中学の副会長は男女1名ずつ、高校も同様。
今後は中高統一した生徒会が出来上がっていく。
☆行事を生徒が中心になるように変えていきたい。まずは文化祭から変えていく。
体育祭、今までは人工芝グラウンド、熱中症の危険があるので体育館に変えようかと思っている。
☆久我山の大事にしている部分は建学の精神3つと実践目標。
規律、勇気、責任、感謝、努力を大切にしている。
中1の頃にABCを教えていた子が東大や早稲田を受けることになるのは感慨深い。
学校の役割として、生徒の今と未来を繋ぎたい。
未来はどうなるか分からないが、根っこの部分をしっかりしてあげたい。
その考えに基づいてカリキュラムがある。
土台となるのは「きちんと青春」という卒業生が作ってくれた言葉。
「あたりまえ」のことが「あたりまえ」にできるようにしたい。
学習習慣ができるよう、宿題はしっかりとこまめに声をかけている。そういうところは久我山の変わらない部分。
久我山生の生活
広報部の先生より、久我山生の生活やクラス編成、入試日程についてお話がありました。
☆男女別学とは。
同じ敷地の中に男子部校舎と女子部校舎がある。
男子校と女子校が立っていると考えていい。生徒の行き来はできる。
クラスや学習活動や授業は男女別に行う。
男女合同は生徒会、委員会、一部の部活動、体育祭、文化祭。
男子部の特徴は武道と能楽教室。
能楽教室は本校OBの能楽師さんが稽古をつけてくれる、舞いを舞えるところまで行きたいとのこと。
武道を体育とは別に週1回行う。
中1柔道、中2剣道、中3からはどちらかを自分で選択する。
女子は中1でことば、中2で花道、中3で茶道、高1で能楽、高2で日本舞踊、高3で総括。
女子で中学3年間はサッカー部、高校は美術部という女の子がいた。
今は早稲田の文学部に行って今は脚本を書いている。
6年間あればやりたいことも変わっていく。
男女別学は距離感を選べるのがいい、男子校っぽく過ごしたければそういう部活に入ればいい、共学で過ごしたいときも同様。
☆生徒が久我山祭のプロモーションビデオを作った。久我山祭では生徒が教室割りなどを一から決めていく。
今年は80周年記念
☆クラス編成
中学は男子5クラス女子3クラス。
中学からの一貫生は高入生とは混ざらない。
男子はSTクラスと一般クラスに分かれている。
男子STクラスでは目標が中3くらいで早めに決まっている子が多い。
必修のST演習では問題の解き方、校外模試や英検対策の演習を行う。
男子一般クラスでは高3で文理分けるので進路の決定はSTほど早くない。
少人数・習熟度授業が必須、クラスを2分割してそれぞれに先生がつく。
女子はSTクラスとCCクラスに分かれている。
CCではグローバルリーダーを育てたい。グローバルスタディズを行っている。
英語だけでなくいろいろなものに触れながらいろいろな価値を育てて行きたい。
☆入試日程は例年通りで変化なし。
☆スライド合格について
男子や女子の一般入試合格者のうち、成績が優秀だったお子さんにSTクラスへの編入をおすすめしている。
STクラスへの移動について。
男子は学期ごとに成績良かったら声がけして一般→STの移動あり。
成績不振者も同様にST→一般の移動あり。
女子は中2の学年末まで移動可能、それ以降は固定。
卒業生の進路
中入生の進路内訳では被りなしを発表している。
今年の国学院大学への進学は7%。毎年5〜10%。
男子STの2人に1人が早慶上智以上に進学。
男子一貫は2人に1人がGMARCH以上、4人に1人が早慶上智国公立に進学。
女子のSTは1/2がGMARCH以上に進学。
女子のCCは今年が一期生の卒業で多様な進路。現役で医学部、海外大学に行った生徒もいる。
女子のCCは22.9%と国学院大学への進学の割合多い→海外について勉強する中で、国学院が強い日本文化を学びたい人が多かった。
中学入試問題について
各教科の先生から、入試問題のコンセプトや学習方法についてお話がありました。
国語
☆言葉の力が全ての活動の原点となる。
国学院が求める力は読む聞く書く話すの4技能。
LINEやチャットGPTなどコミュニケーションツールを使いこなす上でも4技能を高めていくことが重要。
文章を読み込んでいく力、話し合う力、発表する力の育成を目指している。
☆国語の配点は100点満点。
説明的文章35点、文学的文章35点、漢字・語句30点。
読解問題は各6問。全6問中5問が選択肢や空欄補充で各5点、1問が記述問題で10点。
記述の字数、少ないときは30〜40字、多いときは50〜60字。
STの問題は構成同じだが本文が長い。
STでは完答を要する正誤問題を出題。
漢字書き取りは漢検5級程度を6問出題。
慣用句や四字熟語も6問出題。
STは和歌や俳句から季節など共通点を探す問題を出題している。
☆採点所感
よくできているものは与えられているものの中から正解を選ぶものや漢字の書き取り。
ここは落とさないことが大事。
記述問題は得点差が出てくる。
本文の空欄にあてはまる答えを自分て考えて記す問題は差がつく。
☆記述のポイント
①適切な文末表現を用いる
②指定語句をきちんと入れること。指定語句の指示に応えられていない回答もある。
③前後の文章があるのにそぐわない回答もある。あてはまるように答える。
☆学習アドバイス
出題した文章題10のうち8つは入試が行われる前年に出題されたもの。
クラシカルな作品からの出題もある。
最新作品に注意しつつ、年代・ジャンルに囚われない読書が大切。
今年度、奈良時代の食事は現代と変わらないものだったというものを出題した。
説明的文章→岩波やちくまなどジュニア向け新書にチャレンジしてみるといい。
文学的文章→行間を読む練習をする。心理の起伏・機微を読み取る。
漢字→漢検5級程度への習熟。
記述→とにかく書く 書いて添削、書いて添削を繰り返すこと。
算数
☆算数は総合力が大事、計算や図形だけでなくいろんな問題が解けることが大事。
特に読解力が大事。
算数でも数学でも文章やグラフから読み解く力が大事。
久我山でも大問3や4で平面図形と空間図形を一題ずつ出している。
STも同様の出題。
STの第一問と一般の第二問のレベルがだいたい一緒。
STの方が文章題を複雑にしているので読み解くことが大事。
一般の問題はST1回の簡単バージョン。
☆正答率と合格者正答率の差があるところ
一般の問題について
大問①の計算問題は差がつきにくい。小数を分数に直すことが大事。0.125や0.375など。
大問②の特殊算で特に差が出るのは割合の問題と図形。
大問③文章題で答えのみ書くもの。⑴は読めてますかという問題で差がつかない。だんだん差がついてくる。 数が並んでいく問題では法則を見つけることが大事。法則が見つからないときは全部書き出すこともあり。
大問④は文章題で記述あり。速さなどが出る。⑴は差がつかない。問題文を読み解く力が大事。
STの問題について。
傾向は一般と同じ。
差がついたのは縮尺の問題、食塩水の問題、図形の問題。
大問③④は長文。⑴⑵は100%に近い正答率。後半は差が出てくる。
差が出るところは練習してとりたい。
大問②だと割合、図形で差が出る。
③④は受験生自身で文章を読むことが大事。
社会
☆社会科では総合力が重要。
身近なことや新聞ニュースに関心を持つ。いろんなことに知的好奇心を持って欲しい。
資料や統計から考える習慣をつけてほしい。
今年度、一般は大問3つ、STは2つ。
大問①は身近なテーマから社会全体を考える総合問題。
大問②は地理・歴史の融合問題。
大問③は歴史の単独問題。
来年度はこれを逆にして、一般は大問2つ、STを3つにすることを考えている。
正式決定ではない。決まったら2学期以降に発表。
☆今年度第2回の文章で答える問題ではいろいろな答えが正解になる。
皆できていた。
表グラフとの読み取り、菊やカーネーションやバラの出荷量を考える問題。
カーネーションは母の日、菊はお墓参りがヒント。
女子の方が10%高かった。
樺太の中部での国境線の緯度の問題で、日本は北緯30〜45度と分かっていれば50度と分かる。
合格者と不合格者の差が大きかった。
☆学習アドバイス
過去問をやって知識を結びつけていくことを日常的にやってほしい。
理科
☆自立した探究者を育てたいというコンセプトで出題している。
知識、読解力、思考力、表現力、計算力が重要。
共通テストの問題を見てみると、理科でも算数同様に読解力が必要になる。
☆一般では理科4ジャンル(物理・化学・生物・地学)が大問でそれぞれ出ている。
それぞれ6〜7問くらい。
以前は大問1が小問集合だったが、昨年度から1〜4全て分野別大問に変更された。
STは①が小問集合、②〜➃が大問
記述や絵などが含まれる。
☆採点講評
一般
物理 振り子の問題、2乗の関係の見抜き方で差がついた。
地学 ボーリング問題、「地表から」の意味が見抜けなかった。
生物 わさびの問題、今まで教わったことがない問題。文章の長いリード文と選択肢の比較ができていない。
化学 二酸化炭素の誤字あり、定番だがわかっていなかった。
STのキャンプ知識の総合問題で、⑷ すべて選ぶ(複数回答)を忘れていた。
生物の水草の問題、リード文が読めていない。
化学 「加熱前の重さが加熱後より大きい」という文章が読みとれず逆になっていた
取れる基本問題を正確に。
STは読み取る力、表現力がより問われる。
☆学習アドバイス
まず知識定着、実践を通して身につける。
バランスよく点を取れないと合格できない。
学校訪問を終えて
男女別学のメリットを先生方が力説していたことがとても印象的でした。