共立女子中学 学校説明会レポート(2023年03月08日)
オンラインで行われた共立女子中学の学校説明会に、受験Dr. 横浜校校長の久米 光太郎が参加しました。
明治19年設立の伝統校でありつつ、革新的な女子教育を実践し続ける学校です。
東京メトロ半蔵門線・都営三田線・都営新宿線「神保町」駅より 徒歩3分
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2023年03月08日に行われた共立女子中学の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は共立女子中学ではなく、受験Dr.までお願いします。
©共立女子中学
校長ご挨拶
前田好子校長よりご挨拶がありました。
☆今年から校長に就任、本校の卒業生。
☆共立女子は1886年に34名が設立した共立女子職業学校が前身。女性が学問なんて…という時代に、知識と技能の習得を目的として設立された先進的な学校。誠実と勤勉の校訓に1972年に友愛が加えられ今の校訓となった。時代を超えて輝き羽ばたく女性を育てていきたい。
☆1学年320名で東京一出会いが多い学校。 21世紀型の共立リーダーシップを学び、他者を尊重し、自分の個性の活かし方を知り、どんな場面でも主体的に参加できる人になってもらいたい。
☆人間性を高め将来輝く女性になるように支援していきたい。
2023年度入試結果及び大学進学実績
高校教頭の田部満先生より、2023年度の入試結果及び大学進学実績についてお話がありました。
☆今年度は帰国生と四技能入試以外は実受験者増加した。算数は問題の難易度変えずに問題を減らしたところ出来がよかった。計算式を書かせる形も取り入れた。
☆帰国生入試は英検二級から準二級を、英語4技能型入試は準二級から三級を目安としている。
☆模試データから今年度の受験者は減るとの予測あったが変化なしでホッとしている。
☆2024年度の入試の日程や科目などは変更なし。コロナの影響が残ると思われるので帰国生入試の面接と合科型のグループワークは行わない。
☆2/1入試と2/2入試は国算100点理社50点の300点満点の入試で例年6割がボーダーライン。記号や単語で答える問題が多い。2/1は合格者平均199.8 最高は246 合格者最低点は176。2/2は合格者最低点は184 合格者平均はは211.7 最高264 点。2/1と2/2の併願で多いのは山脇 大妻 三輪田 跡見 実践女子など上位10校の全て女子校。本校の志願者は女子校志望が強い。
☆2/3の午後は合科型入試 算数100点、合科型100点の200点満点。合格者最低点は124 最高は186 合格者平均は合科72.5 算数66 計138.5 2/3の手続きは2/5と2/10の2日間やっているが手続き数は例年2:1。国公立併願者は全体の15% 。2/10の手続き19名。国公立の併願が多いのは九段 白鴎 お茶の水 両国 富士。
☆繰上げ合格は複数回受験者が対象、出願のみは不可。今年度は35名、昨年度は38名。2/5と2/10に電話で個別連絡。例年30〜50名で推移している。今年度は公立中高一貫合格からの辞退が多かった。
☆2/1・2入試での入学者は日々の学習習慣が身についていて成績は安定傾向。帰国生や合科型からの入学者の成績は二極化傾向にある。理社で中1前期は苦戦する人が多いので補習や卒業生チューターでフォローしている。発表は得意な生徒が多い。
☆新入生アンケート 塾にいつから入ったか⇒1年生〜4年生からスタートしたお子さんが8割。
保護者が本校を選んだ理由⇒1位校風 2位見学 3位伝統
保護者が本校に期待すること⇒1位自立できる力 2位幅広い学力
新入生が本校を選んだ理由⇒1位見学 2位行事・部活動 3位制服
新入生が心配なこと⇒1位勉強 2位友だち 3位電車通学
見学が決め手になる人が多いが、コロナ禍で魅力伝えるのに苦労した。
☆2022年度卒業生の現役生進学先はほぼ全員が外部で15%が共立女子大。ある程度の成績とっていれば他校の結果を見てから面接や小論文で共立女子大に入学できる。
☆高2から文系5クラス理系3クラスに分かれる。
☆有名校からも指定校推薦あるがハードル高い。近年は推薦からの進学多い。1/3が推薦や総合型選抜で入学を決めている。小論文や面接の指導を細やかにしている。文系は経済、理系は工学が増えている。
☆現在の高3について
以前は推薦系より2月入試を推奨していた、今年度は1/3が2月以前に進路決定している。推薦で徳島大学医学部、東北大、お茶の水女子大、東京医科歯科大学に合格した子がいる。海外大学進学推薦制度で進学1名、資格取得3名。コロナ禍が終わればさらに増加すると考えている。
共立の理科
広報副主任・理科教科主任の坂本彩子先生より、共立の理科についてお話がありました。
☆入学してくる生徒からの質問で多いのは、実験は多いですか、解剖はできますか、理系に進む生徒はどのくらいいますかの3つ。それに沿ってお話ししていく。
☆中1〜3は一週間に理科が4時間、高1は6時間、高2は8時間、高3は1科目とる人は5時間で2科目取る人は10時間。文系は5クラスでうち1クラスは看護・栄養系。数学なしで理科で受験する人たち。理系は3クラス。
☆実験について 教科書に載っている重要実験はほぼ全て行い、応用的な実験も含め数多く行う。入学決まった受験生アンケートで苦手または嫌いな科目の1位は42%とぶっちぎりで理科が多い。実験で得た驚きを大事にして何でだろうと考えていくことを大事にしてもらいたい。理科を好きになってもらいたい。実験で得たことを座学で確認することを行っている。実験室は4室で顕微鏡は1人2台。光学顕微鏡と双眼実体顕微鏡の2台を使っている。
☆実験の事例
①中1 岩石の観察。勉強はしているけど実際触った人は多くない。
②中1 酸素の発生。実感を持って理解していく。
③高1 細胞の観察。1人1台タブレットを持ち、顕微鏡のピントがあったらスケッチではなくて写真を撮っている。レポートはデジタルで提出
④高3 化学演習は毎週実験座学なし。教科書の全ての実験を行う。
⑤高3 大腸菌の遺伝子組換え実験で光る大腸菌を作った。入試でよく出る問題だが、実際にやると知識の定着ができて入試問題が解けるようになる。
☆解剖はブタ・ウシ・ニワトリの心臓を解剖して違いを比べたり実験用ラットの解剖を行ったりした。季節講座で希望者が行うものだが40人募集で80人が殺到して抽選にした。解剖して適性が分かる。解剖後に医学部向いていないと思い進路変えた生徒もいる。
☆共立の理科の目標は以下の3つ
①用語穴埋めではなく説明できるようにする
②公式の丸暗記ではなく理論を理解
③知識を用いて考察ができるようにする
共立の理科の定期試験は中1前期から記述だらけ。
☆その他の取り組み
①補講 難関大学志望者向けに応用問題の演習を行ったり、試験前に質問会を行い弱点を補ったりしている
②オンライン質問 オンラインで受け付けてオンラインで返す
③記述添削指導 オンラインで行っている
④他大学との連携 東邦大学理学部と連携し、PCR検査で自分のアルコール耐性を調べる実験を10年近くずっとやっている。このたび高大連携協定締結を結んだ。今後中学生相手にワークショップをする、大学に行って実験機材を借りる、研究補助をしてもらうことも可能になった。
共立の新しい試み
広報部の金井圭太郎先生から、共立の新しい試みについてお話がありました。
☆共立女子は1886年に創立され創立137年。進取のDNAは今も息づいている。1969年の1ドル360円の時代から海外研修実施、系列大学の推薦を持ち他大学受験ができる制度も他校に先駆けて実施。近年も海外研修などの新しい試みを行っている。
☆探究活動 中学の総合的な学習に「新しいリーダーシップ」開発を導入。共立女子大で2021年に開発プログラムを実施したものを取り入れている。旧来のリーダーシップは先天的カリスマで一部が持つもの、新しいリーダーシップは皆が持つべきもの。皆が同じ目標を持つ、自ら行動を起こす、困っていたらsosを出して助け合うもの。プログラム探究学習を行っている。前期では自分らしいリーダーシップの探究を行っている。他者から前向きなフィードバックを受けることによって自己肯定感を持てるようになる。後期はプロジェクト型学習を行っている。自分の良いところを生かして課題解決に取り組む。
☆高2の選択授業で月曜7限にリーダーシップ開発を開始した。6限後の7限という遅い時間なので応募者少ないと思っていたが70名の生徒が履修してくれた。企業や大学の人にも来てもらい社会とのかかわりを持てる。チームで協力し合い課題解決に取り組みリーダーシップを学ぶ。
☆共立女子は立場や専門が違う34名が自分の強みを活かして作り上げた学校であり、大変当時珍しい突出した学校。自分の強みを生かしてチームに貢献しようという新しいリーダーシップの先駆け。先が見えない中でもその場に応じて自分のリーダーシップを活かしていく生徒が幸せな人生を送れるのではないか。
高3生インタビュー
高3の生徒さんへ、チャットで送られた質問に答える形式でインタビューが行われました。
☆早稲田大人間科学部に進学する高3の生徒、6年間ダンス部。地域格差、社会問題や環境問題について学びたいということで進学先を選んだ。
①共立女子受験のきっかけ→文化祭や体験授業で雰囲気が良かった
②文理選択の決め手→文系にした。理系にしようと思っていたが変えた。どっちに行くと自分のやりたいことが学べるかを考え、社会問題については文系の方が学べると思った。
③共立に入学して良かったこと→300人以上の同い年の女の子が集まるのでたくさんの出会いがあった。クラス関係なくいろんなことをやってる友だちとお話ができた。コミニュケーション能力が伸びた。
④成長したこと→たくさんの子と会うので勉強頑張った子には刺激されて成績伸びた。ダンス好きな子を見て素敵だなと思い 他者から刺激されて自分から行動できるようになった。
⑤勉強時間→中学はいつも2時間、テスト前は3〜4時間。高校いつも3時間、テスト前はそれ以上。高3は塾や自習室に行く時間が増えた。
⑥入学して苦戦した科目→国語と理科。国語は中学に入ってから読む文章が難しくなったスピードも大変だった。(先生から)英語は小学校でやってないと苦労しますか?→自分は英会話を習っていたので最初は苦労しなかった、後からは習っていないことが増えて自分で頑張った。
⑦まわりの友だちのタイプ→明るい友だちが多い
⑧おとなしい子でも馴染めますか→行事イベントが多く、委員会でもしゃべったりするので、普段付き合っているタイプの子じゃなくても関わる機会多いので大丈夫
⑨女子校の良さを伝えるとしたら→何も気にせず楽しめることが大きい。運動会とか何も恥ずかしがることなく応援とか全力で取り組める。女の子しかいないので普段の生活も楽にできる。楽しく自分たちが思うようにできる
⑩宿題は多いか、取り立ては厳しいか→宿題多すぎるという印象はない。余裕を持った期限の宿題が多い。取り立ても厳しいと言うよりこまめに連絡をくれている感じ。
⑪共立に向いている子はどんな子→伝統のある学校で明るくていい子たちがたくさん集まっていて勉強も学べる。礼儀とか人の関わり方を学びたいと思っている子。
説明会を終えて
創立137年の伝統校ながら、入試については4科型だけではなく2/3に合科型の入試を取り入れたり、理科の授業を実験重視のものにしたり、進取の気風に富んで色々なことを変えていこうとしている学校だという印象を受けました。受験勉強だけでなく部活や委員会活動など中学校に入って様々なことにチャレンジしていきたいお子さんにとっては魅力的な学校になると思いました。