武蔵中学校説明会レポート(2019年11月10日)
本日は武蔵中学校へ、受験ドクター 国語講師のS.M.が行ってきました。
大学と同一キャンパスで敷地が非常に広いです。中央には「濯川」という小川が流れ、全体的に緑の多い環境です。
電車西武池袋線「江古田駅」より徒歩6分、「桜台駅」より徒歩8分
電車都営大江戸線「新江古田駅」より徒歩7分
電車西武有楽町線「新桜台駅」より徒歩5分
バス中野駅より関東バス江古田駅行「江古田駅」下車徒歩5分
バス高円寺駅より関東バス・国際興業バス赤羽駅行「豊玉北」下車徒歩5分
バス目白駅より都営バス練馬車庫行「武蔵大学前」下車徒歩0分
2019年11月10日に行われた武蔵中学の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は武蔵中学ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©武蔵中学校
校長ご挨拶
武蔵中学校の杉山 剛士校長より、
教育に関するお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。
ご挨拶
武蔵の歴史と新生武蔵について
①東西文化融合のわが民族理想を遂行し得べき人物
②世界に雄飛するにたえる人物
③自ら調べ自ら考える力ある人物。
特に③の自調自考の精神の重要性は、卒業生もよく口にしている印象があります。10代のうちに試行錯誤をし、自調自考のエンジンを身につけてほしいです。今は失敗させない教育がなされることが多いようですが、失敗を経験しない人は伸び悩んでしまう。チャレンジすることの重要性を伝え、実際にチャレンジさせるための学びを考える必要がある。学びの本質とは「わくわく(好奇心)」と「わいわい(仲間力)」であると考えています。武蔵は敷地内に川があり、大学があり、自然豊かな広大なキャンパスを持ちます。1学年4クラス、少人数授業の実施など、「わいわい」対話のある授業をし、生徒たちが学べる仕掛けをたくさん用意しています。
2022年、武蔵は100周年を迎えます。新校舎エントランス、理科実験棟といった新しい施設もできてきました。これからさらに力を入れていきたいのは①進路希望の実現②グローバル化の2点。①は、武蔵での生活を通して生徒自身が人生を通しての「志」について考え、自分が一生をかけて何をしたいのかを考えたときに、それを全力で応援したいということ。②については、今後国内マーケットが縮小し労働力も減少する日本において、これ位まで以上に多様な国の人々と協力してやっていくと思われるため。グローバル戦略として、第二外国語の履修や海外の学校との連携プログラム、海外研修などを実施。武蔵生を世界につなぐバックアップをし、後々は「武蔵生が世界をつなぐ」ことが目標です。
また「守・破・離」の考え方を重視しています。「守」…まず基本の型をしっかり。大人が指示したことができる段階。「破」…教わった型を壊していく。大人が指示しなくてもできる段階。自主性。「離」…自らの型を作っていく。自ら物事を企画し責任をとれる状態。主体性。武蔵では主体性の段階まで育てていきます。
学校選びのポイント
受験生に
・自分で壁をつくるな ・成長のしかたは人さまざま ・「みっつのこう・ごころ」(好奇心、向上心、公共心)を大切に。
主体的な学びを育む武蔵の教育
広報委員長の小池 保則先生より
主体的な学びを育む武蔵の教育お話がありました。
その中からいくつかを紹介します。
①何故武蔵は「武蔵高等学校中学校」という順番なのか。(中学高等学校ではないのか)
旧制高校の伝統を受け継ぐという考えから、このような順で表記しています。旧制高校は現制度に移行する際に大学になるケースがほとんどでしたが、武蔵は新制高等学校になることを選びました。旧制高校の流れを汲み、今でも大学の教養学部の性質をもった教育を行っています。
中学生から「学問」を意識した教育。武蔵の先生は代々、本物に触れる教育を行うこと、生徒一人一人に対する指導を行うことを実践してきました。それは旧制の時代から今にいたるまで変わっていない点です。
本質を追求する深い学びこそが「自ら調べ自ら考える力」を育てると考えています。
学問は興味、発見から始まるもの。中学生だからまだやらなくていい、という発想はせず、興味を刺激する授業を行っています。
学びを支える環境として、吹き抜け式で明るい雰囲気の中高図書館、武蔵生であれば正規会員として利用できる大学図書館および洋書プラザ、天体ドーム、フーコーの振り子などがあります。
②主体性を育てる学びについて
・生徒が運営する三大行事(文化祭、体育祭、強歩大会)と、教師が生徒の自主性を育むために行う学校行事があります。たとえば中1の赤城山での山上学校では、生徒が自分たちで登山コースを決め、当日も生徒が自分たちでそこを歩き、教員は後ろから見守りながらついていくだけです。たとえ迷ったとしても自分たちで考え、解決するように促します。「先生が先に答えを言わない」というこの姿勢は普段の授業でも同様です。
また、「人とつながり、学びをつなげる」という考えから、一般の農家に三泊四日で民泊するイベントを実施。外へ向かうことの抵抗感をなくすことが目的です。
・高1の総合講座では教員が用意した30近い講座の中から各自が自由に選択し、1年間じっくり学ぶことになります。
・国内外の校外活動を支援する制度があります。
③武蔵の入試は記述であるということについて
生徒による学校紹介
武蔵高等学校に通っている2年生2名による学校紹介がありました。
その中からいくつかを紹介します。
①武蔵オリジナルの「授業」について
特徴として「本物に触れる」ことへのこだわりがあります。実験が非常に多いです。生徒が自ら学ぶことを大切にしています。理科の実験レポートを2週間に1回提出するのですが、なんと教科書を見ることが禁止されています。あくまで自分たちの得られたデータをもとに、ディスカッションを通して自分たちなりの結論を出さなければなりません。ただし結論が間違っていてもそのことを叱られることはありません。自分で調べて自分で考えるということが最も重要だということです。先ほどの先生のお話にもありましたが、武蔵の先生は本当に答えを教えてくれません。ディスカッションの間も後ろで笑っているだけです。
数学の教科書は完全オリジナルです。ユークリッド幾何学を重んじており、数学に登場する言葉の厳密な定義を学んでいきます。たとえば「直角とは何か」を言葉だけでどう説明するか、などです。
国語では古典教養が重視されています。週に4時間古典の授業があります。中学1年生では百人一首をすべて覚えました。それによって昔の日本が持っていた美意識、価値観を学んでいくことができます。
②授業だけが武蔵ではない!
三大行事のひとつである強歩大会を例にとりますが、公道や公園の使用許可を警察や管理事務所に届けるところもすべて生徒が行っています。演者の一人も実際に手続きを取りに行ったのですが、何をどこに出すのかなども自分たちで調べなければならないので、違うところに提出しようとして出直すはめになったりしました。そういうレベルでの「生徒主体の運営」です。
③武蔵だからこそ○○
武蔵は「受験刑務所」ではありません。普段の定期考査などでは順位や平均点は発表されず、学期末の通知表で自分の評価が初めてわかるという仕組みです。
武蔵は「基礎理解の上に成り立つアクティブラーニング」を行っています。ディスカッションを通して結論を出すようなタイプの授業が本当に多いです。
校長がかつておっしゃっていた「何者にもなれるが何者でもない」ことを最大限に生かし、どんなことにでも取り組んでいけるのが、この武蔵という学校だと思います。
学校訪問を終えて
緑豊かな環境で、仲間たちと積極的にコミュニケーションをとりながら、のびのびと勉強やその他の活動に励むことができそうな学校です。校内を流れる濯川と、2011年に作られたというヤギ舎にも立ち寄りました。生まれたばかりの子ヤギがいて、同じ会に参加していた小学生たちが目をキラキラさせながら覗き込んでいました。
本説明会は、校長先生が「こんにちはー!」と全体に呼び掛けてそれに皆が「こんにちはー!」と返す場面があったり、高校生による学校紹介では小学生に簡単な問題を答えてもらう場面があったりと、一般的な「学校説明会」というイメージと比べるとかなり柔らかい雰囲気でした。講演者がいずれも、壇上の講演台を使わずにステージの上を自由に歩きながら話していたのも印象的です。現役の生徒による学校紹介は今年始められた試みだそうです。二人とも非常に堂々と、自然体で話していて「武蔵の環境にいるとこんなにも発表する力が強くなるのか」と感心させられました。