2016 洗足学園 |学校説明会レポート



洗足学園中学校説明会レポート(2016年9月26日)


本日は洗足学園中学校へ、受験ドクター たまプラーザ校校長、澤田 重治が行ってきました。
説明会の中で触れられることはありませんでしたが、全体的にとてもきれいな校舎でした。
ガラス張りの面積が大きく、自然光を積極的に取り入れられる設計になっています。
また、説明会にも使われた大講堂は、座席数が908席、大型のプロジェクターや最新の音響設備もありました。

JR南武線 武蔵溝ノ口駅より徒歩8分
東急田園都市線・大井町線 溝の口駅より徒歩8分
「溝の口」は渋谷や自由が丘へも短時間でアクセスでき、緑と近代都市が調和する魅力的な街です。

平成28年9月26日に行われた洗足学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は洗足学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©洗足学園中学高等学校

プログラム

校長ご挨拶

洗足学園中学校前田 隆芳校長より、
洗足学園の歴史や教育方針など
に関するお話ありました。

その中から一部を紹介いたします。

洗足学園の基本概念について

1.建学の精神……「謙愛の心を育む」

・青山女学院で聖書の時間を担当していた敬けんなクリスチャンが創始者。
・「建学の精神」も「校名」も、聖書の言葉が基になっている。
・「謙愛」は造語。「謙虚な慈愛の心」の意。つまり、「愛と奉仕の精神」ということ。

2.教育目標……「社会に有為な女性を育てる」

・開校したのは関東大震災の翌年。当時の女性に求められるものといえば「良妻賢母」という程度だったが、社会の変化とともに、女性の役割も変化してきた。
・現在は、男性・女性の区別なく、「人としてどう生きるか」が問われる時代。
・グローバル化に伴い、一国で解決できることはほとんどなくなってきた。能力を活かせる場は、世界中にある。何事にも立ち向かう姿勢が求められる。

中学高校6年間の重要課題

1.主体性を育む

・自我に目覚めて親離れしていく時期。 
・主体的に取り組む子をどのように育てるか。→自分の人生だから自分の意志で行動する。
(学習面においても学習面においても、「他律」から「自律」へと変化させていくこと。)

2.自己肯定感を高める

・自分を否定するのではなく、自分の存在を認めるという前向きな感情。
・自分の良いところだけでなく、悪いところも肯定できる。→悪いところもあるから自分がある。
・自己肯定感が、何事にもチャレンジする気持ちを生む。心の持ち方一つで人生は変わる。
・中学2・3年では、自己肯定感のセミナーを行う。
・結果よりも、過程(努力・発想・取り組み姿勢)を認めてあげることが大切。

新しい取り組み ―教育イノベーション―

変化する社会に対応する教育観

1.新しい学力観 → 「学ぶとは覚えることではなく考えること」

・中学で学習する知識事項は、その多くが中学受験のために学習したことでカバーできる。
入学後の学習で、調べ、考えることで、点だった知識がつながって線になっていく。
・考えるための最低限の知識は必要だが、その先は暗記ではなく、考えながら身につける。
→ 学校は、「知識偏重型」 から 「知識活用型」 の授業に切り替える必要がある。

2.課外活動 (≒ 総合的な学習の時間)

a.各学年の取り組み

・中1…HR研修 → 時間管理が重要(家族に頼らず自分で考えて行動する。)
・中2…ボランティア活動 → 自分でできる範囲でできることをすれば良い。
・中3…研究論文 → 仮説を立て、その仮説に向けて論を展開することを学ぶ。

b.生徒の自治活動

・部活や生徒会などの自治活動に参加するのは高2まで。(高3は受験準備のため。)
・洗足祭では、生徒の発案で準備状況をHPに載せたところ来場者が18,000名に。

c.他流試合(学外活動)

・目先の成績にとらわれることなく、多感な時期に、様々なことを経験させて、人生を考える基礎力を養う。
・卒業生の実例を紹介 → ボランティアで経験したことがきっかけで行動が積極的になった。
・必ずしも普段の成績によらず、目標に向かって進んでいくエネルギーがあれば、大学受験も良い結果が出ている。(下から3分の1くらいの成績だった生徒が慶應大学に入学。)

  

新しい大学入試制度への取り組み ―学力本位から人物本位―

・2020年からの大学入試改革
→ 日本の大学入試も欧米型に変わっていく方針

【アメリカの大学が求める留学生】
・英語が話せること → 実際に通っているうちに何とかなるので問題ない。
・中学高校時代にどんな足跡を学校に残してきたか?
・学際的研究ができる資質。
→ 成績が良いか悪いかではなく、勉強をしたかしないか。(結果より過程が大事)
→ 資質はエッセイ(論文)を読めばすぐにわかる。
→ これらのことからも、課外活動を大切にしている。

学校に求められること → 「いかに興味関心を持てるものを提供できるか」

洗足学園の学力形成

洗足学園での6年間の学力形成について
田中 友樹教頭先生よりお話がありました。

そのなかから一部を抜粋して紹介します。

中高時代に求められる基礎力の変化(21世紀型学力)

1.定められた科目の知識・技能習得 → 当然
2.論文を書く力 → 日本語はもちろん英語でも
3.研究を進める力 → 一人では研究できないので「多様性」や「協働性」も必要。

モチベーションの維持・向上

主体性を引き出すために

・学習や進路に対する「興味」「関心」「必要性」が必要
・「興味」「関心」「必要性」は、知識・経験の幅から生まれる。← 学校の役割

授業65分5日制 学校6日制

・昨年度より、1授業を50分から65分に変更
・8:20からショートホームルーム開始。(それまでに登校する必要がある。)
・午前中3コマ → 昼休み45分 → 午後2コマ(最終下校17:30)
・英語・数学・国語はほぼ毎日、理科・社会は1日おき

生徒の様々な活動を可能にする環境

1.放課後

・月曜日 → 自治活動(HR活動,委員会活動,生徒会活動)
・火~金曜日 → クラブ活動,進学講習,ネイティブ講座
・自治活動とクラブ活動が両立できるように、活動日を完全に分離した。

2.土曜日

・様々なこと(特に他流試合)に積極的にチャレンジするために授業はない。
・月に1度程度は午前中に登校し、行事や講演会を行う。
・午後にOG補習・Sオケ・(踊る方の)バレエ・教養講座などを実施。

3.狙い

・様々なことをしていく中で、どこかできっかけができる。
・一つの歯車が回転することで、他の歯車も連動し、主体性が生まれてくる。

大学入試制度改革に対して

1.国内の入試制度が、海外に近づいている

・東大が後期入試を廃止して推薦入試を導入した動きに他大学も追随。
・推薦入試で求められるものの(海外大学への進学と似ている)
    → 英語力や成績の証明・高校での活動歴・表彰歴・ボランティア活動・推薦書等
・毎年、海外の大学を受験する生徒がいるので、対応はできている。

2.塾に行かなくても大学受験ができる体制づくり

・放課後の進学講習(中学3年生の夏休み以降)
・ネイティブの先生による英会話講座
・OG補習(中学1~3年対称/希望制)

今後の計画

・学校を中心に、企業・団体・大学・卒業生・保護者とのネットワークで育てる。
・当然、学内の授業や学校行事の進化は必要。
・学校内で行われる教養講座・外国語講座等の充実。
・TOEFL(primary)の全員受験(中1・中2)。 → 11月実施
・海外進学フェア → 国内だけでなく、海外への進学情報も提供する。
・海外研修や留学制度の充実。
・他流試合やボランティア活動の奨励・支援。

 【まとめ】 学校だけでなく、学校がコーディネートするネットワークで、海外と国内大学の
      併願を可能にする総合力を育成していく。

入試について

入試広報委員長の玉木 大輔先生より
2016年度の入試問題についてや
4科の入試傾向についてお話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

入試問題について

入試

1.内部入試 → 12月に実施。

・毎年10名程度の入学。
・各クラスに均等に分けるので、先にグループができてしまっていることはない。

2.帰国生入試 → 1月に実施。

・毎年30名前後の入学。(合格者数自体はもう少し多い。)
・詳細は、11/1に行われる帰国入試の説明会で説明する。

3.一般入試 → 2/1~

・入試日程等は昨年と同様。

2科・4科選択方式の合格判定方法

1.合格者総数の8割にあたる人数を、算数・国語の合計点で判定。
2.残りの2割を、まだ合格が決まっていない生徒の4科成績で判定。

・4科受験者は、選抜のチャンスが2度あることになる。
・理科・社会の成績が悪くても、最初の2科判定で不利になることはない。

繰り上げ合格に関して

・各回の試験において、複数回受験による有利・不利はない。
・繰り上げ合格者の決定の際には、複数回受験が有利になる。
(各教科の得点は、何回か受験した中でのベストスコアを採用するため。)

来年度入試に関して

→ 詳細は、12/17実施の「入試問題説明会」にて発表。

1.国語

・漢字(各1点)・語句は基礎点となるので確実に正解してほしい。
・記述問題について……内容は「加点方式」で、誤ったことを書いても減点なし。
(誤字・脱字については部分的に減点する形となる。)
・字数制限のない記述問題も導入する。加点方式なので、書いた方が良い。
(とはいえ、1行分の解答欄に2行書くのはNG。)

2.算数

・計算問題は2題(各5点)出題する。
・途中式の記入欄がある問題について
→ 解答があっていれば、途中式は一切見ない。違っていても減点はなし。
(あくまで、答えを間違えた場合の加点材料として使用する。)
・途中式を書かせる問題を、3題から4題に増やした。
→ その分、大問数を減らすことで、時間が足りなくならないように調整している。

3.理科・社会

・「薄く(浅く)・広く」という出題。
・理科・社会は一緒に実施するので、時間配分や解く順番は自由。
・社会は、1分野10題程度。2行くらいの記述問題を出題する。
・理科は、漢字指定の問題はしっかり漢字で書くこと。
(指定なければひらがなOK。漢字が違っていても、ふりがながあっていれば正解。)

Web出願について

・出願はすべてインターネット上で行い、提出物は一切ない。
・内申(小学校からの報告書)はなし。
・写真不要。
・受験料を支払った後に表示される受験票を印刷する。
(「受験生心得」の部分と切り分けて、「受験票」のみ持参する。)
・詳細や注意事項は学校のHPにも載っているので参照のこと。

洗足Q & A

説明会予約時に親御様から寄せられた
質問にそれぞれの先生方が回答。
その中からいくつかのQ&Aを紹介します。

Q1.大学入試に関して

A1.必ずしも普段の学力が進学と相関しているとは言えない。入試方式が多様化しているため、学内で何番以内にいればどこの大学に……という示し方ができない。一般的な傾向として、きちんと授業を聞いている生徒は合格している。

Q2.アクティブラーニングについて

A2.全教員に、アクティブラーニングの研修はしているが、授業の形式は各教員の自由。
講義形式であれ何であれ、生徒の興味関心をひける授業を良い授業と評価。

Q3.いじめ・不登校について

A3.いじめや不登校もある。その対応については、HPに掲載しているので参照を。
いじめは、高校生ではほとんどなく、中学ではあるのが現状。不登校は、中2~3の時期に起こりやすい。子どもを信じて待つことが育てることになる。

学校訪問を終えて

構内に入った第一印象は、とにかく「きれい」ということでした。
曲線を活かした近代的なデザインの建物で、清掃もよく行き届いていると感じました。

最後の晩餐の時に、キリストが自ら弟子たちの足を洗い、「互いに足を洗いあえるような、謙虚で慈愛
に満ちた気持ちを持ちなさい」と教えたという逸話からつけられた校名が示す通り、建学の精神や教育
方針にも、キリスト教の教えが色濃く反映されているように感じます。
しかし、その一方では、変化し続ける社会に柔軟に対応していこうという姿勢も随所に見られ、とても
未来志向の学校であるという印象も持ちました。

プログラムの中に組み込まれていた「生徒による発表」では、高校1年生にして、きちんと論旨の組み
立てができた、とてもハイレベルな論文発表を聞くことができました。
教頭先生のお話の中にもあった「論文指導」が、力をいれて行われていることを実感しました。

説明会を拝聴したことで、同校の人気が上昇し続けている理由がよく分かりました。