2019 世田谷学園中学④| 学校説明会レポート



世田谷学園中学校説明会レポート④(2019年11月6日)


本日は世田谷学園中学校へ、受験ドクター国語・算数・理科・社会講師の久米 光太郎が行ってきました。
仏教の教えに基づいた教育を行うが信仰を強制するものではない。不易流行、変わるべきところは変わり、伝統を守るべきところは守る。学校は楽しいところでないといけない、世田谷学園の生徒は生き生きとしている。第一志望進学率、国公立大・早慶上理への現役進学率が高い。

バス
三宿停留所下車
徒歩5分

田園都市線・世田谷線
三軒茶屋駅北口B
徒歩 約10分 小田急線
下北沢駅
徒歩 約25分 京王井の頭線
池ノ上駅
徒歩 約20分

2019年11月9日に行われた世田谷学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は世田谷学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©世田谷学園中学校

プログラム

校長ご挨拶

世田谷学園中学校校長の山本慈訓先生より、世田谷学園中学校の教育に関するお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

教育理念

教育理念を中心にお話します。二学期の前半の一大イベント獅子児祭は二日間で1万人の来場。目玉の1つがジェットコースター。(ジェットコースターに校長先生が試乗した動画を紹介)もっと高くもっと長くでトンネルまでできていた。安全が大事なので専門の方々にもチェックしてもらった。乗ったお子様が喜んで興奮していた。今年も校長先生が試乗して自分で動画を撮った。生徒たちが来場した皆さんに楽しんでもらえることで充実感や達成感を味わえる。主体性や共同性を育てる絶好の場を学校が提供する。その仕組みを工夫するのが学校。世田谷学園は何年もそれを提供してきた。最後に学力がグッと伸びる学校、それは行事を通じて本当の意味で主体性や共同性を育んでいるから。

創立

創立118年。前身は1592年の栴檀林。仏教教育を受け継いできたが信仰を強要するものではない。根幹に仏教や禅があること。社会の入試問題で出題された問題で、信仰的には本来は道元禅師と答えなければいけないけど道元と書いても正解。ど忘れして道元が出てこずに解答欄に小さく「ごめんなさい」と書いたお子さんが合格した。現在元気に世田谷学園に通っている。

仏教・禅

天上天下唯我独尊という言葉は世間では自分勝手で傲慢なイメージだけど、お釈迦様1人のことではない。人は一人一人がかけがえのない尊い存在であるということ。尊厳性➕可能性というかけがえのない価値は自分の手の中にある。ひたすらに磨き続けること、中学受験はそのプロセス。磨き続ければ必ず輝きが増す。

THINK&SHARE 仏教・禅の人間観。
think 明日を見つめて今をひたすらに
share 人は固有の価値観を認め合うこと 違いを認め合って思いやりの心を
自立心にあふれ知性を高めていく人→智慧
喜びを多くの人とわかちあえる人→慈悲
地球的視野に立って、積極的に行動する人→勇気

智慧(仏様の智慧)知恵(凡夫の知恵)コップが1つしかない時にどうやって分けるか。兄が半分ずつに分けて弟が選ぶ→これは凡夫の知恵。後から思い直して不満を持つかもしれない。兄が最初にちょっと飲んで、あとは弟に「好きなだけ飲んでいいよ、ただ少しだけ残しておいてね」と渡す→弟も全部飲まずに少し残す→兄が残りを飲む。これが智慧。おそらくぴったり半分にはならないけれど、お互いを思いやる心、慈悲の心が大切。

智慧 慈悲 勇気 あのゲームが欲しいあいつが気にくわないこの宿題が面倒だという思いにとらわれないこと。とらわれる→受動的・無意識的。こだわる→能動的・意識的。座禅は世界でも注目されている。グーグルなどで社員の能力向上のためにやっているマインドフルネスは座禅がベース。座禅で思い浮かぶことをいちいち追わない、聞こえてくる音は聞こえてくるに任せる。それがこだわらないということ。座禅の機会は各学年「生き方」週1コマの授業で年に約5回ある。早朝座禅会は週1回希望者が行っている。生徒の感想「座禅をするとスッキリする」的を射た表現。総持寺での本山一泊参禅ある。自然や人との関わりが自分を支えてくれている。中1だと控えめないびきが聞こえてくることもあるけど成長して高3になると上記の思いに至る。おかげさまでという感謝の心に至る。感謝から慈悲や勇気が湧いてくる。恩を受けた時、他の人にも分けようとする。
新学習指導要領の3つの柱と同様に、慈悲や勇気を携えた智慧の人を目指す。様々な問いに答えられるのはただ単に賢いだけの人ではない。慈悲や勇気を育む根幹に禅がある。基礎学力の上に発展する力、創造する力を育む。中学生は一人一台タブレットを持ってもらっている。自主自立の学習のため。様々な教養講習も行っている。すぐに役立つものではない、一見無駄に見えるかもしれない教養は自分の中から自分を解放してくれる。不易流行、変えない部分は変えず、変えるべき部分は変え、進化して保護者の皆さんや生徒の期待に応えていきたい。中学入試を通じてお子様が光り輝くことを期待したい。

入試概要について

世田谷学園中学校教頭の北原先生より、入試概要についてについてお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

入試について

入試全般について。定員は200名。2月1日午前60名・2月1日午後30名・2月2日80名・2月4日30名、トータル200名の募集。特待生選抜は1日午後10名、2日10名の合計20名。年間の学費90万円のほとんどを免除。立派な成績を修めれば年度ごとに更新される。特待生で入学していない人でも学業が極めて優秀なら特待生になれる。入学から6年間特待生だったお子さんが北海道大学医学部に今年度入学した。出願はインターネット出願のみ。全て当日発表。全てインターネット上で手続きが完了する。

配点は算数国語100点、理社50点。どこかの教科で失敗してもいい。複数回受験のメリットは①ボーダーラインで同点で20名並んだ時などに複数回受験の方を優遇②お手続きを締め切った後の繰り上げ合格で複数回受験の方を優遇してご連絡する。はっきりとは見えないが3回とも同じ傾向、同じ難易度で問題を作成しているので受け続けていくうちに問題に慣れることも(複数回受験の)メリット。
合格者数は手続きをとる人が募集定員になるように、過去の歩留まり率を参考に出している。2/1は定員60名で合格者が82名と多くない。(受験者の層は)ほとんど第一志望で学力的にも似通っている。2/2と2/1午後は多くの合格者を出しているが実際の入学者は定員に近い。他校の併願として世田谷学園を使っている人が多い入試。学力的には上の方に膨らんでいる入試。合格者はたくさん出るので倍率は下がってくる。2/4は成績の幅が広い入試。実力あるのに発揮できてない人もいれば熱望組もいる。合格者も多様。第1志望で入った人は伸びる 第2志望の子も入ってから第1志望だと思って欲しい。算数特選は一教科だけ。食堂を開放して、食事を提供できるわけではないけれど(各自持ってきた)お弁当も取っていただける。算数特選入試は同一問題で3回の時間帯で入試を行っている。1つ前の回に当日変更することもできる。遅れて次の回になりそうだというときは連絡してほしい。飲み物は持ち込み可。試験終了後30分で退場できる。ちょっとした食べ物チョコレートなども持ち込み可。

入試問題の傾向と対策

基礎的な知識を満遍なくしっかりとつけて欲しい。1基礎的な知識をストレートに聞く問題では落とさないで欲しい。2基礎的な思考ができるようにしてほしい。その中で差がつく問題が出る。

入試について<算数について>

算数の午前入試について。 60分で100点。 【1】一行問題の穴埋め形式6問(答えのみ)。単純計算、特殊算、面積などの基本問題。【2】【3】【4】標準的なレベルの特殊算、図形など(答えのみ)。最初の方の問題は落とさないようにする。【5】【6】はやや難しめの問題。特殊算、図形などの応用(記述)。部分点あり。最後まで粘って書くこと。

算数特選は午前入試と違って最初の非常に基本的な問題がなくなり記述が増えている。難易度は上がる。 【1】【2】は標準~応用レベルの問題。答えのみを書く。標準的なレベルの特殊算(昨年は過不足算)、図形問題(昨年は立体の表面積)などが出題される。【3】【4】【5】は難しい問題。記述式で部分点もあるので算数得意な人は本来の力が発揮できる。午前中の算数の問題の延長線上にあるので傾向は同じ。大問の中に複数問題がある場合は⑴は解きやすくなっている。合格へのアプローチ「特殊算」を徹底的にマスターし 【1】~【3】を確実に得点すること、出題頻度高い図形問題、「比・割合」や「旅人算」の問題演習を行うこと、記述問題は式だけではなく言葉で説明を入れること、算数特選は過去問が少ないため1~3次入試の後半の応用問題やそれらの類題を繰り返し解くこと。

入試について<国語について>

国語は長文一問だけになって問題文が長くなった。長いから読むのが嫌になっちゃったとかが無いように。読解のポイント→二項対立を読み取ること。人間が論理的に考える時は必ず2つのものの対立関係を意識するので、二項対立を考えながら読んでいくこと。漢字では差がつかないけどみんなできるので出来ないと差がつく。語句に関する問題は取りやすい。基礎的な言葉の意味はしっかりと押さえて欲しい。段落ごとの内容をしっかりとまとめていくことが大切。段落ごとの内容をまとめていく問題は取りやすい。去年の問題で差のついた問題は国語と算数の融合問題、最終段落の要旨を問う問題。段落ごとの要約が大事。論述問題完答は難しいが部分点を狙って記述する。

入試について<社会について>

社会は地理15点、歴史15点、総合20点。基本的な部分を幅広く出題する。遍なく基礎的な知識をつけていくのが一番の対策。どこが出ても大丈夫なようにする。総合問題の中に公民分野が出てくる。差がついた問題は人口密度の問題→資料を使ってアメリカの面積を出してアメリカ人口密度を計算する問題。漢字指定がない問題は漢字が間違っていたらバツだけど、ひらがなで書いても〇になる。

入試について<理科について>

基本的な観察や実験、科学のニュースも興味を持って知っておいて欲しい。筋道を立てて計算する力を養ってほしい。数値を答える問題は小数で答えること。差がついた問題は発生する二酸化炭素の体積を調べる問題、輪軸とばねを組み合わせた問題。基本的な用語は漢字指定で出る。今年から大問3題になる。

学校生活について

広報主任の中村先生より環境づくりについてお話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

学校生活について

学園の6年間の生活の流れ.前期1年2年・中期3年4年・後期5年6年に分けている。
前期→学習習慣の定着。テーマは自立。休み時間は鬼ごっこ追いかけっこしている。最近はラグビーのスクラムを3人と3人で組んでいる。中学校1年生というよりも小学校7年生。友だち作りを大事にしている。西湖でキャンプの写真、最初は表情が硬いけどだんだんと仲が良くなっている。じゃんけんして勝った人が負けた人にインタビューするなど仲良くなれる工夫をしてい。黒姫サマースクールは二泊三日でトレッキングをする。食事の時にはご馳走様と必ず言う。感謝の言葉。人として大切なことを教えていっている。マウンテンバイクで駆け巡る、カヤックに乗るなど楽しいことが世田谷学園で待っている。大学生を呼んでの理数プロジェク、 トランプとサイコロを使ってゲームを作る などの活動。
2年では遠足で八景島シーパラダイスに行ったり、永平寺一泊研修旅行に行ったりする。 5月と11月に授業参観がある。

中期→主体的な学習の確立。テーマは自律。子どもが親に何もしゃべらない時期が来る。3年生の修学旅行は3年長崎から沖縄へと変わった。4年は全員がカナダに行ってホームステイをする。カナダの高校で授業を受ける 。

後期→高校生活の充実、キャリアプランの探求と大学受験における自己実現の達成。6年進学研修会では卒業生の話を聞く。主体性を身につけるため、さまざまな行事がある。高3は部活の部長や役職についている。縦割りの体育祭。文化祭の獅子児祭、中学1年生はアートギャラリーをクラスごとに展示。中学2年生は合唱コンクール。中学3年生は身体表現パフォーマンス。 高校1年生高校2年生はクラスの枠を取っ払ってやりたい展示を行う。例として占い・鉄研・物理部など。SETA学会は全学年合同企画、いろんなテーマで研究を行う。

「臘八摂心」を12月に行う。朝7時から有志で座禅を組む。400〜500人来る。自己を見つめることを大事にしている。

卒業生214名、現役進学者158名、現役進学率74%。第1志望者への進学率が高い 。国公立大現役68名進学、早慶上智理科大現役48名進学、 私立大医学部進学者4名。合わせて難関大学現役進学者120名。(合格を勝ち取る秘訣は)眼横鼻直(がんおうびちょく)。当たり前のことを当たり前にするという意味の言葉で表される。学園では君たちを待ってますよと言うことをお子さんに伝えてほしい。

学校訪問を終えて

東大合格者が2ケタの15名、現役進学率も高い。入学時の偏差値よりも高い実績を挙げているお得な学校。算数1科目入試も始まり、最上位生の受け皿にもなりえるし、中位層にとっては第一志望になりえる学校。東大合格実績の伸長と算数午後入試の定着で来年度は人気・倍率が上がる可能性が高い。