「自己主張度」と「感情表現度」の2つの視点
ソーシャルスタイルでは、まず社会における行動や話し方を2つの視点から分類します。
すなわち「自己主張度」が高いか低いか、「感情表現度」が高いか低いか。
ここで注意したいのは、この「自己主張度」と「感情表現度」で対象となるのは、
どちらも本人から見た内面の自分ではない点。
つまり、診断対象のお子さんが、周りの人から見てどう見られやすいか、という視点で質問項目にお答えください。
表に出た言動から判断するということです。
このそれぞれの高低を組み合わせることにより、
4つのスタイル 社交型 友好型 行動型 理論型 に分類することができます。
この4つのスタイルによって、最終的に個人の社会における言動の傾向が診断されます。
では、この4つに分けるための視点、「自己主張度」と「感情表現度」についてかんたんにご説明いたしましょう。
1.「自己主張度」とは
「自己主張度」とは、
《まわりの人からみて、お子さんの考えや自己主張がどのくらい強いか》、その強弱の度合いのこと。
まず、例を出して子どもの行動や話し方を、この視点から分類してみましょう。
たとえば、こんな場面。
学校の話し合いの場で、
A 自分から手を挙げて意見を言う
B 指名されるまで特に意見を言わない
A 意見を言う時、やや早口ではっきりと言う
B 意見を言う時、ゆっくりめに静かな調子で言う
A 意見を言い終わったとき、少し興奮した様子が見られる
B 意見を言う前と、表向き変わった様子は見られない
Aは明らかに自己主張度が高く、Bはどちらかというと低いタイプです。
「自己主張」というと、日本人は「わがまま」とか「自己チュー(自己中心的)」というイメージでとらえることが多いようです。
しかし、この言葉自体にマイナスの意味はありません。
ソーシャルスタイルの考え方では、
それは単なる行動の傾向でしかなく、そこに「良い悪い」の価値判断は入らないのです。
余談ですが、「自己主張」を「自分の考えの自己表現」という言葉に置き換えると、
途端に「身につけたい大切な技術」だととらえる人が多くなります。
自分の考えを「自己表現」する、それこそが「自己主張」。
これから先のグローバル化された社会の中で、ある意味もっとも日本人が身につける必要のある技術かもしれませんね。
2.「感情表現度」とは
「感情表現度」とは、
《まわりの人からみて、その人が、どのくらい自分の感情を表情や態度で表しているか》
ということの度合いを意味します。
これも、自己主張度と同じく、まわりからどう見えるかで社会的傾向を測ります。
そのため、本人が、たとえどれほど内心で豊かな感情を持っていたとしても、
それを外に出さなければ相手には伝わりませんから、感情表現度は低いということになります。
たとえばこんな場面。
いよいよ修学旅行が明日に迫りました。
A いつもより興奮気味でハイテンション
B にこにこしているけれど、いつもと特に変わったところは見受けられない
先生が「旅行の間中、天気は良いそうだ」と言いました。
A 「よっしゃあ!」と気合を入れたり、お友だちと顔を見合わせて喜び合う
B にこにこしているけれど、特にリアクションなし
Bの態度のお子さんも、実は内心わくわくして眠れない夜を過ごすのかもしれません。
でも、社会的行動として表に出ないので、「自己表現度」は低くなります。
では、人を型に入れるときの2つの視点、「自己主張度」と「感情表現度」を、
その高低によって縦軸と横軸にして図に表してみましょう。
この図のなかで、「自己主張度」の高低と「感情表現度」の高低で
I・II・III・IVの4方向に向かう4つの組み合わせができましたね。
この4パターンこそが、人が社会の中でとる言動の傾向を判断、分類したものなのです。
では、いよいよソーシャルスタイルにおけるお子さんの4つのタイプについてご説明いたします!